オクシドン(Heller 1/400 L,OCCIDENT)・・・・・とオオダコ
エレール 1/400・・・・と石粉粘土

 このキットはエレールの一連のミニ帆船シリーズの中でも比較的後期の物のようで、箱を開けた感じもゲゲッとなる様なものではなく、良い感じのキットです。
元は1837年にイギリスで建造された蒸気外輪船「シリウス」をモデルにしたオリジナルキットで、このミニキットが出る前に先に1/100で発売をしていまして、それのスケールダウンと言う感じなのかと思います。

実船はグレート・ウエスタンと大西洋航路でブルーリボンを争ったるするような優秀な船だったようですが、1847年アイルランドの沖合で座礁・沈没したそうです。
その際救助されて上陸したアイルランドのバリコットンで、全ての乗客の手荷物が地元民に略奪されたそうで、当時のアイルランドと英国の確執が伺い取れますね。
普通、遭難した民間人を襲うというのも、当時の先進地域では聞かない話です。
トルコ軍艦エルトゥールル号遭難の話とは真逆です。
 1/400となってはいますが何かその辺は架空船なのでちといい加減な気もします。
箱絵は鮮やかはライトグリーンで塗装されていますが、残されたシリウスの絵画を見た感じでは全体に黒っぽい塗装だったみたいですね。
最近茶色っぽいのばかりやってたので、今回はエレールに敬意を表して箱絵に近い塗装でやってみました。

さて製作ですが、一連のビネット仕立てにはするつもりではいたのですが、今回はどういうシチュエーションにするか決まってはいませんでしたが、取り敢えず船体の製作から。
 多少バリ等もありましたが割とサクサクと進捗。
船体は結構薄手にできているのでリギングのテンション等を考えてプラ板で補強を入れました。
甲板は凸彫だったので、一度ペーパーをかけてデザインナイフで筋彫りを実施。
塗装はタンを下塗りの後、タミヤのスミ入れ塗料(ブラウン)で塗り分け、ふき取り。
流石エレールで、木目模様のモールドがあったりして割とい感じになったようです。
割と近代?の船なので鉄製の手摺なんかがある様なので、ジャンクのエッチングパーツから適当なのを選んで取り付けています。
 マストはいつも通りFRP棒をつかっての自作です。
(今回はマスト2本でヤードも少なく楽ですね~)
甲板上のキャビン等の構造物は船体と同じライトグリーンを塗ったのですが…後で箱絵を見るとわずかに見えるその個所は・・・白塗装だったようです。(まっ、架空船なのでいっか!)
ラットラインも今まで通りエッチングを使用しました。
これはお値段800円くらいで、各種サイズのが結構な数入っていまして、仕上がりも含めて非常にお得感が高い逸品です。


 で、ここまで来て・・・・どういうビネットにするかを考えていたのですが・・・。
丁度その頃、所属している模型会の友人宅から三十数年前に自分が作った「オオダコに襲われる帆船」のディオラマが出土!
ああ、懐かしいなぁ、そう言えばそんなのもあったなぁ・・・なんて思ったりしていたのですが、突如としてそれのリメークが作りたくなって、構想を練り上げました。
場面としては突如海中から現れたオオダコに襲われる帆船!(蒸気外輪船ですが…)
左舷側から襲われる設定で、主役のタコと帆船、沸騰する海面てな感じで考えましたが・・・まぁ後は作りながらの雰囲気でやっつけれれば良いなと、割といい加減ではありました。

まずオオダコの材料をどうするか?
普段海面に使っている紙粘土だと、タコ足のような細長いものだと強度に不安があり、また仕上がりもざらついた感じになるので・・・ちと困ったなと。
今は造形専用のプラ粘土やなんやらがフィギュア用で色々出ておりますが、どれがよいのか専門外なのと、お値段も皆ちとお高め。
そんな時100均で見つけたのが「石粉粘土」。
調べてみると結構色々な造形に使われていて、ペーパーがけや塗装もできる様なので、試しに使ってみようと思いました。

 タコですが、この生き物も非常に奇天烈な生き物で、生きているときは生息場所の環境に合わせた色で、攻撃時やなんやで色から形、皮膚の感じまでガラッと変わってしまう動物です。
なので写真はもとより、海中でのタコの動画なんかも随分とみて頭の中のタコ感を組立。最初頭から作り始めたのですが、台座にセットした船と比べると相当なオーバースケール・・・。


 船や足とのバランスを見ながら再度製作。
なんかタコ・・・とは言い切れない形状になったような気もしますが、まぁどうせ化け物なんだからと…これで良しとします。
足は粘土だけだと強度が足りませんので、中に針金を通して何本か製作。
4~5日よ~く乾かしてから指紋やいらない皺をペーパーがけで落とし、全体に薄く海面用のウォータ・エフェクトを塗ります。
これが乾いたら、今度は同じのを厚めに筆で置き塗りし、少し乾いてきたところを見計らって筆で棘状になるように加工。
(なんか、威嚇するときにそんな感じになる様です…)
タコの塗装はまず全体的に適当な茶褐色を塗り、次はそれより明るめの茶褐色を面相筆で筋を書くように全体に塗っていきます。
そして最後に濃い茶褐色で全体に点々を打って終了。
本物のタコの色も斑点状の細胞が時によって色変わりするようなので、雰囲気は出た様に思います。
タコ足の重要部位吸盤!・・・こちらは何かの輪切りでも移植しようかなとも思いましたが、いざ足ができてみると思ったより細くなったのと面倒くさくなったので白点々でごまかし・・・・。
 さて、パーツが揃ったところで仕上げに入ります。(タコ頭・・・ウォーターライン 笑!)
紙粘土で作った海面は、あらかじめ船体が少し斜めに入るように掘ってあり、そこにリギングを終えたオクシドンを接着。
大目のウォータ・エフェクトを接着場所に絞り出し、わざと溢れるように押し込んでいます。海面に溢れた部分は完全に乾く前に船が排水した感じに筆でなでつけ。
タコを設置する前に、浮かび上がってきたであろう海面にウォータ・エフェクトを薄く塗り、こちらも半乾き状態の時に毛足の短い固い筆でタンタンタンタンと叩いて細かな皺をたくさん作ります。
 タコは頭から接着して乾いたら足を取り付けていきます。
足は芯に入れた針金を少し伸ばしてあり、それを海面にピンバイスであけた穴に差し込んでゼリー状瞬間で接着。
ほんとはマストに巻き付いたりすると良い感じになるのでしょうが、別々に作ってあったので、何となく船体上から襲う感じになっています。
4本程取り付けた後、足の付け根の隣り合ったところにビニールを大きさに合わせ、扇状に切り取って接着します。
これは足の付け根の膜みたいなところをやってみたかったからですね。
これもきっちりついたら上からウォータ・エフェクトを塗って棘なんかを盛って塗装をします。
ここまで来た時点でタコの本体を支える残りの足を作って取り付けましたが、大きさの都合で全部で7本の足のセットで終了・・・・残りの1本は海中に入ったままとお考えいただければ・・・・。

これでほとんど完成ですが、一応蒸気船なので脱脂綿に黒を塗ったのをほぐして煙突に接着しました。
う~ん・・・・もうちょっと可愛げのあるものになるかと思いましたが・・・・思ったよりおぞましい感じですね~。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
製作 kudopapa@副長 
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