「ゴシック・カテドラル」、「グランドホテル」などの異名を持った、
フランス戦艦黎明期の一隻です。


タンブルフォーム船体のために狭くなった上甲板に多様な上部構造物を搭載するため、
上へ上へと構造物が積みあがっていった、トップヘビーの見本のような艦です。
本艦は前級アミラル・ボーダン級に匹敵する火力と防御力を要求されながら
建造費節約のため排水量を減らされ、結果としてモニター並みの
低乾舷な艦形となってしまいました。



そのため前進するだけで艦首甲板に波を被り、背の高い上構だけが水面上に浮かんで見える異様な姿から「労働者の小屋を背中一面に張り付けた、半分沈んだ鯨」などと揶揄されました。

一隻の艦にあれもこれもと欲張った性能を盛り込もうとすれば全体的にバランスを欠いたものになりがちですが、当時のフランス艦はその典型だと指摘されることが多く、本艦はその代表例といえる艦です。

理論ばかりが先行し、およそ実戦向きとは言い難い艦形となった本艦にとって、一度も敵艦と砲火を交えることなく生涯を全うできたことはこの上ない幸せだったかも知れません。

製作 衛

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