★スパニッシュ・ガレオン(SPANISH GALLEON)
ドイツ レベル 1/450

自分で勝手に命名した「海の歴史シリーズ」もかれこれ10作目になってしまいました。
今回のスパニッシュ・ガレオンは昨年たまたまカラーを買いに行った某ショップで見かけ、あまりの奇怪なその形状に思わず購入してしまったものです。
ボックスアートで見る限りはよくあるガレオン船に、ガレー船並の多数のオールが付いている形状で・・・・なんだこれは的な印象でした。
昔イマイで出していた「ガレアス船」的な雰囲気ですが、マストの艤装が横帆になっていることや艦載砲の配置はほぼガレオン船で、それに多数のオールが配置されているという何ともみょうちくりんな帆船でした。

ガレアス船は構造的にどちらかと言うと帆走と艦砲を強化したガレー船と云う構造になっていますが、これは何と言うかそのどちらにも属さない異形の船ですね。
ちなみにグーグルでガレアス船を検索したところ、16世紀スペインのガレアス船として絵が載っていました。
やはり当時としても横帆(スクエアセイル)が珍しいとされています。
で・・・この絵をよく見ると・・・このキット、どうもこれを基にして作られたんじゃぁないのかなと思ってしまいますね。
(見つけた絵画は・・・本当にこれ一枚!)
この手の軍艦が最後に活躍したのは1571年10月7日にギリシアのコリント湾口のレパント(Lepanto)沖での、オスマン帝国海軍と、教皇・スペイン・ヴェネツィアの連合海軍によるレパントの海戦です。
この海戦は西ヨーロッパ史において初めての大会戦でのオスマン軍に対する勝利であり、オスマン帝国の地中海での前進を防ぐのに役立ちました。
この海戦ではまだラム(衝角)を使った体当たりや、近接しての小銃(火縄銃)の射撃、接舷しての切込み等の戦法がとられていました。
比較的海の静かな地中海では、機動性に優れたガレー船、ガレアス船は長らく地中海沿岸部での各国の主力軍艦となっていましたが、艦載砲の威力の増大に伴いハリネズミのように強力な艦砲で武装したガレオン船には近接することができなくなって、次第にその主力軍艦としての使命を終えました。
ガレー船を相手にするには鈍重で、ガレオン船と戦うと大砲でボコボコにされるという、なんともはや中途半端なものでもあったのかなぁと。

 こちら左はシュガー長官がかなり前に作られた同時代のケベック船です。
喫水の浅さと縦帆という特徴から非常に旋回が優秀で、荒っぽい連中(海賊、私掠船)なんかにご愛用だったとか。
で、こちらはこの形状・・・・ガレーとガリオンの良いとこどりをしようとしてなにか悪いとこ取りになってしまったようですね。

 
キットは最近の作の様で、前回まで作り続けたエアフィックスの発掘出土品のような酷さはありませんが、やはりヘナへナのマストは使い物になるわけがなく、別素材のものを流用するしかありませんで、プラキットとしての帆船の限界を感じてしまいますね。
船体等の合わせは比較的カッチリしていて、あんまりストレスは感じませんでしたが、オールが一枚板にすべて装着されているのには、射出の技術の高さを感じるより、後々の製作工程でのやりづらさだけが記憶に残ってしまう嫌な構造でしたね。
また、モールドの良さにうっかり油断をしておりましたら、甲板の砲座と舷側にモールドされた突き出した砲身のずれが、エアフィックスなんてものじゃあ無いくらい酷くて…
気が付いた時には自作する段階をとうに超えておりました。
 塗装は(と言ってもボックスアートですが)、スペインの軍艦独特のきらびやかな意匠であちこちに金のモールが走っています。
このモール、船体に薄っすらモールドされていますが、スケールから言っても金色塗料の性質から言っても目立つようにカッチリ塗り分ける技術が自分にはありません。
なので、3種類ほどの伸ばしランナーの太さを変えたのに金色塗装して削ったモールドの上から貼り付けました。
船体はW・Lでカット。
船体下部の板目は最初ラインチゼルで引きましたが、完全にオーバースケールになってしまったため、埋め戻して今回は甲板も含めてナイフだけでけがきました。
ただ甲板はナイフの刃を斜めにして両側から二回けがき、断面が三角形になるようにして筋を強調しています。
マストはいつものようにヘラブナ釣り用浮きのFRP棒を使おうとしたら在庫が切れていたので、同じ品種のカーボン製の棒を使用。
これはFRP棒より更に硬度が高いものなのですが、その分加工が大変!
ナイフで切断できず、リューターで削るようにカットしたのですが・・・・真っ黒い粉が一面に飛び散って不快極まりないですねぇ・・・・。
後部はスターンウォークの部分にプラ棒を使って再現されていない手摺等を追加。
帆は従来通りPCで印刷。今回はスペイン王家の紋章をたくさん拾ってきてそれっぽく合わせてみました。
(スペイン船はやっぱりド派手でないとね)
 リギングですが、ロープ途中の滑車を接着剤の玉で表現するのですが、そこで糸を分岐して二重にするとこのスケールではテンションが高くなりすぎ、流石のカーボン棒でもしのってしまうので、普通に1本の糸を固定した後、滑車の分岐から塗料で固めた糸をたわまない様に後付で止めていきます。糸の加重方向がちょっと変ですが、雰囲気はそこそこ出る様です。
海面は前回は大荒れで表現しましたが、今回は波穏やかな地中海なのですこし抑え気味に再現。
ただ・・・・製作工程でついうっかりオールを接着してしまったため、実物で型どりができなくなって大失態!
仕方ないので船体のカット部分を厚紙になぞって船形を作り、それを使って紙粘土で海面を作成しました。
紙粘土はゆるく海面にうねりっぽい状態にして、一面に薄くウォーター・エフェクトを塗った後、波頭であろう部分をウォーター・エフェクトで作りました。
船体をセットした後にオールが波にぶつからないかひやひやでしたね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
製作 kudopapa@副長 
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