ドイツ帝国海軍 戦艦 ナッサウ
(SMS Nassau)

本艦は帝政ドイツ最初のド級戦艦です。
主砲の門数はドレッドノートを上回る12門だが、主砲塔を亀甲形配置にしているため、片舷砲力はドレッドノートと同じ8門にとどまっている。
また、レシプロ機関を搭載しているためタービン機関装備のドレッドノートより劣速だが、常備排水量の約35%を防御重量に割いているため打たれ強い艦に仕上がっている。
本艦は主力戦艦の一隻としてジュットランド海戦に参加しており、主砲弾106発を発射しているが明確な戦果は無かった。
終戦後に賠償艦として日本に引き渡されたが、回航されることなく売却解体されている。
船体は前弩級戦艦以来の平甲板型を採用した。艦首から構造を記述すると、新設計の「1909年型 28.3cm(45口径)砲」を連装砲塔に収めて1基を配置し、司令塔を組み込んだ操舵艦橋に単脚式の前檣を立て、その背後の1番・2番煙突および後檣の間の部分は甲板一段分が高められて艦載艇スペースとなり、中央部にグース・ネック(雁の首)式クレーンを片舷1基ずつ計2基配置した。その中央部の甲板上に、背中合わせ配置で主砲塔を片舷2基ずつ4基を配置した。後部甲板上に後部艦橋に組込まれた単脚式の後檣、6番主砲塔を後ろ向きに1基を配置した。
本級の主砲塔の配置には特色があり、6基の主砲塔を六角形状に並べていた。これは準弩級戦艦の中間砲を主砲に置き換えたような配置であり、全主砲を同一方向に斉射できないという欠点があった(12門もの主砲を搭載しながら、単一の敵には最大でも8門の砲しか撃つ事ができない)。ただし、敵艦隊と乱戦時には反対舷からの巡洋艦や水雷艇が回りこんで攻撃して来た場合に即応できる利点も有った。また準弩級戦艦ヴィッテルスバッハ級の側面形に酷似しているため、実戦でも度々誤認され、敵を惑わす効果があった。なお、この配置は次級のヘルゴラント級にも踏襲された。
艦体は艦首と艦尾が斜めになった分の重量を軽減できるカットオフ方式を採用し、舵は主舵と副舵を装備した。また、長期間の作戦行動は考慮に入れず、短期間のみの行動で良しとされた為に居住区域を最小限にまとめ、浮いた重量を装甲と武装に回した。また、波の高くないバルト海での行動を考えたためにビルジキールは未装備だったため、外洋航行時には艦の動揺が北海の波の周期と同調し、本級の安定性は最悪になってしまった。そのために即急にビルジキールが装着された。
製作:衛
inserted by FC2 system